2005年03月12日

フジテレビvsライブドア仮処分命令本文から抜粋

フジサイドから見ると「トドメを刺しに行った部隊が司令官ごと全滅した」ような厳しい文言に見える。ライブドアの「新株予約権発行差し止仮処分命令申し立て」は「この新株予約権がフジテレビに対する不公平な有利発行であるとは言えない」と言う一点を除き、ライブドアの完勝となった。実際にどのように判断されたか本文から抜粋してみよう。
ちなみに債務者はニッポン放送、債権者はライブドアを指す。


〔あまりにヒドイ乗っ取り相手を排除する為ならOK〕

企業価値とは、会社ひいては株主全体の利益をいうものと解することができるところ、特定の株主の支配権取得によりかかる利益が毀損される場合には、取締役はこれを防止することを目的としてそのために相当な手段をとることが許される場合があるというべきである。他方、現経営陣の支配権の維持を主たる目的とする新株予約権の発行が原則として許されないことからすると、企業価値の毀損防止のための手段として新株予約権の発行を正当化する特段の事情があるというためには、特定の株主の支配権取得により企業価値が著しく毀損されることが明らかであることを要すると解すべきである。

http://it.nikkei.co.jp/it/newssp/fuji_vs_livedoor.cfm?i=2005031107675ra&p=6


〔ライブドアが企業価値を著しく毀損するとは言えない〕

債務者とフジサンケイグループ各社との取引は、平成16年3月期の売上高の実績で13億4000万円、同期の債務者の単体の売上高が308億円以上であることを考慮すると、フジサンケイグループ各社との取引中止が債務者の単体の業績に及ぼす影響は必ずしも甚大ということはできない。債務者はAMラジオ業界における売上高一位のラジオ局であり、高い知名度を有すること等を考慮すると、債務者がフジサンケイグループのブランド力にどれほど依存しているかは明らかではなく、債務者がフジサンケイグループから離脱することによってブランドイメージが毀損され、著しく営業力が損なわれることが明らかであるとはいえない。

債権者はこれまで数多くの企業を買収してきたが、買収に伴って従業員らを解雇したことはなく、買収後直ちに雇用条件の見直しを進めたことはないことを考慮すると、債務者が債権者の子会社となった場合に、債権者が従業員らと十分な協議を行うとともに、真摯な経営努力を続けたとしても、債務者の従業員らの大量流出が生じることが明らかであるとはいえない。
インターネットの利用者は年々増え続け、インターネット広告費も平成14年から平成16年までに二倍以上の伸びを示し、平成16年にはインターネット広告費がラジオ広告費を上回っている状況にあり、債務者と業務提携により、インターネットとメディアの融合がうまく進展すれば、その結果、債務者及び株式会社ポニーキャニオンの売上げや利益も上昇し、債務者の株価は一株あたり1万2493円から1万3808円になるとする試算を行っている。債権者は、債務者の株式を取得する前である平成16年11月以降、関西テレビとの業務提携を図って交渉を継続してきた経緯があること、債権者は、債務者の経営に参画し、業務提携を行うことを前提に前記のとおりの事業計画を作成していること、債権者の主張する債務者の株価試算は、債権者の事業計画に基づき第三者機関であるPwCアドバイザリー株式会社の行った分析にかかるものであることからすると、債権者がメディアとの事業提携を目指していることを否定することはできない。

したがって、債務者が債権者の子会社となった場合に、債務者がフジサンケイグループから離脱することにより債務者やその子会社の売上げ及び粗利益が債務者が主張するとおり減少し、その一方で、債権者との事業提携によって収益が向上することが期待できず、債権者による支配権取得が債務者に回復しがたい損害をもたらすことが明らかとはいえないし、債権者が真摯に合理的経営を目指すものではないともいえない。

http://it.nikkei.co.jp/it/newssp/fuji_vs_livedoor.cfm?i=2005031107675ra&p=8


〔ライブドアの時間外取引が違法とは言えない〕

本件ToSTNeT取引のような取引を規制すべきであるという立法論はともかく、現行法の下においては、本件ToSTNeT取引が証券取引法27条の2の規定に違反するものであるということはできない。したがって、本件新株予約権の発行は違法な買収に対する対抗措置であるとする債務者の主張は、その前提を欠き、採用することができない。以上のほか、債務者は、本件ToSTNeT取引は相手方との事前合意の上で行われたものであった旨や株価操縦や風説の流布等の証券取引法に抵触する可能性がある債権者側の行為があった旨を主張するが、本件新株予約権の発行を正当化する特段の事情があったとまでは認めるに足りる疎明はない。

http://it.nikkei.co.jp/it/newssp/fuji_vs_livedoor.cfm?i=2005031107675ra&p=9


〔名義書換拒否はムリ〕

本件において、保管振替機構から保振法31条1項に基づく通知を受けた場合に、債務者が名義書換を拒絶できる理由は特に存在しないと認められるため、確かに、現時点では債権者は3万1420株を超える株主であることを、株式会社ライブドアパートナーズは1062万7410株(平成17年3月7日現在)の株主であることを、それぞれ債務者に対抗できないものの、保管振替機構からの通知に基づき実質株主名簿の名義書換が予定される平成17年3月31日以降には債権者及び株式会社ライブドアパートナーズは債務者に対して株主であることを対抗できることになる。

http://it.nikkei.co.jp/it/newssp/fuji_vs_livedoor.cfm?i=2005031107675ra&p=9


〔取引中止に独占禁止法抵触の可能性がないとは言い切れない〕

債務者が債権者の子会社となった場合に、フジテレビやフジサンケイグループ各社が取引停止を示唆したことが独占禁止法違反に該当するか否かについては、債務者の売上等が大幅に減少するという債務者の主張を前提にすれば、債務者及び株式会社ポニーキャニオンのフジテレビに対する依存度が大きいことになり、フジテレビの債務者及び株式会社ポニーキャニオンとの取引打切りは独占禁止法に違反するとの指摘がある一方、公正取引委員会委員長は、平成17年3月9日の衆議院経済産業委員会において、本件に関して「取引は自由で、放送業界の市場で競争の制限も発生しない。」と述べており、これと同旨を述べる意見書も提出されている。債務者や株式会社ポニーキャニオンがフジテレビを含めたフジサンケイグループ各社と継続的取引を続けていたようなときに、このような理由による継続的取引の打切りが独占禁止法違反となるか否か又は解約に正当な理由があるか否かは、個々の取引関係を詳細に検討して判断すべきことであるから、フジサンケイグループ各社の取引打切りの可否について、現段階で一概にいうことはできない。また、フジサンケイグループ各社以外の取引先との取引についても、それらの取引先の取引打切りが許されるかどうかは、個々の取引関係を詳細に検討して判断すべきことである。

http://it.nikkei.co.jp/it/newssp/fuji_vs_livedoor.cfm?i=2005031107675ra&p=7


フジから見れば新株予約権の差し止めのみならず手の内の交渉カードを一気に失ったような敗北のように読める。高裁でこれらを全て覆すのは非常に困難な様な気がする。みなさんはいかがなご感想でしょうか?
posted by シュート at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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